正しく家を買うための、失敗しない設計士選び

まずは建築士の資格を確認しよう!

設計図

まず「設計士」と呼ばれる(一般名称として普及しています。)人たちは、「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」と呼ばれる建築士資格のいずれかを取得している必要があります。では、それぞれの資格の違いは何なのか?をまずは説明していきます。

木造建築士

延べ面積が300㎡以下の木造等2階建てまでの建築物を建てる際に必要な資格です。木造建築物にのみ特化した資格となっており、一級・二級建築士の資格だけではまかないきれない木造建築物への対応を期待され昭和59年から制定された資格です。

施工事例18

二級建築士

延べ面積が1,000㎡以下の木造建築物(面積に応じて3階までの制限があります)、もしくは300㎡以下の鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建築物(階数などの制限あり)を建てる際に必要な資格です。わかりやすく言えば、一般の戸建住宅や、一軒建ての店舗テナント等(用途制限あり)の設計を行う際には、こちらの資格でまかなう事ができます。

施工事例11

一級建築士

延べ面積が300㎡以上の鉄筋コンクリート造の建築物を建てる際に必要な資格です。簡単に言うと4階建て以上の大型施設や高層マンション等は該当します。一級建築士資格を持っている事でありとあらゆる建築物の設計を行う事が許可されています。

大型商業施設

このように、それぞれの資格によって設計できる建築物の規模が変わってくる事になります。じゃあここで、「『一級建築士』の資格を持っていればどんな家でも建てる事ができるので一級建築士に頼めば問題無いんじゃないの?」と感じたあなた。ここから頼むべき設計士の見極め方をお話しさせて頂きます。

重要なのは設計士の「資格」ではなく、担当してきた「施工実績」

施行実績

建築士は資格によって設計が許可されている建築物の用途や規模もどんどん変わってきます。一級建築士であれば様々な施設も担当する事ができ、一見経験豊富で任せていても大丈夫と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、注文住宅を依頼する際にポイントとなるのは建築士が持っている「資格」に加えて、これまでの「設計の実績」を見て判断した方が納得のいく家づくり成功の確率がグンと上がってきます。

普段から大型商業施設や高層マンション、サッカースタジアムや病院等の建築に携わっている一級建築士が、いきなり二階建て戸建住宅の設計を任されたらどうなると思いますか?

逆に、木造住宅しか設計してこなかった二級建築士が、いきなり鉄筋コンクリート造の住宅の設計ができると思いますか?

重要なのは、建築士がこれまで担当してきた設計実績を見てどの建築士に依頼するかを決めましょう。建築士によって得意とする設計は人それぞれです。一級建築士の資格を保有していても、狭小住宅の様な小さい建物の設計を得意とする一級建築士も存在すれば、設計許可範囲ギリギリの300㎡までの大豪邸の住宅の設計を得意とする二級建築士も存在します。
また、断熱性能や温熱環境に特化した建築士や二世帯住宅の設計を得意とする建築士等、設計の内容や住宅設備によっても様々です。

自分が建てたいと考えているこだわりの要望をしっかり叶えてくれる建築士なのかどうか、直接話して判断する事が建築士選びのコツとも言えます。

「構造」・「デザイン」・「設備」を理解している設計士に依頼しよう!

デザイン機能性構造

「構造」・「デザイン」・「設備」の3点をしっかり理解しており、バランスを考えて図面を描く事ができる建築士が住宅の設計において非常に重要であると言えます。

例えば、最新テクノロジーを駆使した機能性に富んだシステムキッチンやユニットバス等をたくさん取り込みたいとしても、各種配線やダクトの位置等が定まらず、構造上に欠点が出てしまうと万が一の災害時に人命に関わってくる可能性があります。

他には、デザイン性を重視した結果、今までに無いデザインの住宅ができたが、住む人の使い勝手などは悪いく、特に高齢者等にとって住みづらい住宅になってしまうといった問題等が出てくる可能性もあります。

耐震性の基準

地震大国日本では住宅を建てる上で切っても切り離せない「耐震性」。近年では、「国の基準をクリアした耐震性に優れた住宅」と謳っている住宅も少なくないですが、皆さんは「国の基準」をご存知ですか?実は建築基準法の冒頭に記載されている内容には「最低の基準を定めた」となっています。最低の耐震性とは、震度5程度に耐えられるかどうかが基準とされています。2016年に起きた熊本地震は震度7を記録。2011年の東日本大震災では震度9を記録しており、「国の基準」をクリアしただけでは「安全に暮らせる家」とは言い難い住宅になるかもしれません。

耐震性

建築士には、善管注意義務はもちろんの事、生命および健康などを守るため使用者への注意喚起等も必要かと考えます。国の基準に則った耐震性を確保した住宅を設計するだけでなく、家の倒壊を未然に防ぐ為に+αの追加の対策を行えるかどうかが本当に信頼できる建築士です。ただあなたの要望に全てイエスと答える建築士ではなく、あなたの要望を取り入れながら、機能性や安全性をしっかりと考慮し、あなたへ最良の提案をされる建築士かどうかをきちんと見極めましょう。

強度

建築士に依頼する際に注意すべき事

住宅を建てる為には土地が必要です。土地を購入する際には工事請負契約を用いて住宅と土地のローンを組む事がほとんどだと思いますが、このローンを組む際に注意が必要です。年収・職業・年齢を加味した上で銀行から下りる融資の額が決まる事になります。その場合、銀行への借入申込金額(建設予定費を100%とする場合)が予定より下回る可能性があった場合、当初に想定していた設計図通りでは融資額が足らず、自己資金が必要になるケースもあります。また、土地の購入を決めた際には申込から2週間以内程度に手付金(1割程度が相場)が必要となり、申込から1ヶ月先には土地決済(ローン申込)となります。土地の検討に費やす時間の猶予は想像以上に少ない事も注意が必要です。

土地購入の際に慌てる事の無い様に予算の検討は、融資の事前申し込みを銀行にて手続きをされ、あらかじめ確保可能な予算を知っておく事も重要です。

住宅ローンで借入をする場合は、住宅の設計手順が逆になる事も知っておく必要があります。

例えば、どんな住宅希望なのかで必要な土地の形状や場所が想定されますが
住宅ローンにおいては土地の値段と立地条件が先行し、借入限度額までの範囲で建設費用を捻出する為、借入限度額から土地の値段を引いたものが、大まかな建設費用となります。その他には登記手続きや火災保険等の諸費用が別でかかる為、一般的には諸経費として建設費用の1割を残して計画する等の逆算が必要です。

多くの方は、この為に慌てて情報収集をされ正しいかもわからない情報に右往左往されている場合が見受けられます。

建築士事務所でも不動産業者のご紹介等をしているケースもある為、土地からスタートする慌ただしいルートより、建築士と土地から検討していく家造りのルートがある事も認識いただければと思います。